TopMenu      エミール・ガレ          掲載写真の無断使用は堅くお断りいたします

蘭文花器(悲しみの花瓶)

ガレの代表的なシリーズに「悲しみの花瓶」があります。どれも暗褐色のガラスを被せて、暗い印象の花器です。これは当時の時代を表現した、世紀末芸術の耽美を象徴します。この花器も蘭の花はしおれて、首を垂れ、滅びてゆく美しさを表現しています。滅びと再生、自然への回帰を考えていたガレの思想を、大変よく表現したシリーズです。ガレの思想が色濃く反映されている作品は好みが分かれる傾向にありますが、私はこのようなガレの思想性の高さが、ガレ作品に他の作家とは違う表現性を与えているように思います。人に何かを伝えること、それにより、人の暮らしが少しでも精神性豊かなものになってゆくこと、自分の制作に対する考え方に通じる思想を感じることが、私がガレを好きである理由なのかもしれません。